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目の症状と病気

【加齢黄斑変性】

 

老化に伴い、カメラのフィルムにあたる眼底の網膜の中心部分(黄斑)に出血やむくみを生じ、視力が低下する病気です。放置すると進行して、視力回復が不能になる厄介な病気です。視覚障害の原因4位で、高齢化とともに増加しています。

新生血管からの出血やむくみを伴う「滲出型」と、網膜が徐々に萎縮する「萎縮型」に分類されます。

・滲出型: 脈絡膜新生血管が発生し黄斑が障害されます。進行が速く急激な視力低下を来しますので、早期の検査・治療が必要です。

・萎縮型: 網膜の下に老廃物が溜まり、網膜が徐々に萎縮していきます。進行は緩やかですが、徐々に視力が低下します。積極的な治療法はありませんが、新生血管が発生することもあるため、定期的に通院して検査を行う必要があります。

 

【原因】「加齢」という病名のごとく、年齢が高くなると発症しやすくなります。老化によって、物を見る中心部を担う黄斑部網膜に老廃物がたまることが原因です。喫煙者は発症する頻度が高く、太陽光、高血圧、偏った食生活、遺伝などの関与も指摘されています。

【症状】変視症「ものがゆがんで見える」、色覚異常「色の区別がつきにくい」、中心暗点「見ているものの中心が暗い・欠けて見えない」、視力低下「見たいものがはっきり見えない」などがあります。

【治療法】残念ながら完全に治す治療法はなく、障害を受けた部分の網膜は再生させることができません。しかし、早期に発見できた場合、ある程度進行をくいとめ、被害を最低限度にすることができます。滲出型では、すぐに治療を開始する必要があります。一方、萎縮型は、現時点では有効な治療法がないので、予防のための生活習慣の改善やサプリメン卜の服用が主体になります。

<滲出型の治療>

・抗VEGF療法: 眼球に直接注射して、抗VEGF薬を眼内に注入します。VEGFの働きを抑え、新生血管の成長や水分の漏れを抑えます。一般的には、はじめ3回毎月連続で注射を打ち、その後は必要に応じて注射をする、あるいは、計画的に投与間隔を決めて注射を行っていきます。治療効果には個人差があり、長期にわたる注射継続が必要なこともしばしばあります。中断すると、再発し、治療前の状態に戻ることもしばしばありますので、根気よく治療を続けましょう。

・光線力学療法(PDT): 光に反応する薬剤を体内に注射し、その薬剤が新生血管に到達したときにレーザーを病変部に照射する治療法です。レーザーで薬剤が活性化され新生血管を閉塞します。薬剤は治療後しばらく体内にとどまるので、肌に光があたるとやけどのような症状が出ることがあり、治療後5日聞はなるべく外出を控え、直射日光が肌に触れないよう、帽子や手袋を着用する必要があります。

・レーザー光凝固術: 新生血管をレーザー光で焼き固める治療法です。正常な周囲の組織にもダメージを与えてしまうので、新生血管が中心窩より外にある場合のみ実施します

【日常生活での注意点】

・禁煙: 喫煙は加齢黄斑変性の危険因子であり、喫煙者は禁煙が強く勧められます。

・日光から目を守る: 太陽光の特に青色光は黄斑の老化に関係するといわれています。屋外では帽子をかぶり、サングラスなどで目を守りましょう。またパソコンやテレビなどの青色光も同様に良くないといわれており、長時間のパソコンの使用やテレビ鑑賞は控えましょう。

・バランスの良い食事: 発症予防によいとされる栄養素として、ビタミンA、C、E等の抗酸化ビタミン(ビタミンA、C、Eなど)やカロテノイド(ルテインなど)、抗酸化ミネラル(亜鉛など)、オメガ3多価不飽和脂肪酸などが知られています。緑黄色野菜(特にホウレンソウ、ケール、ブロッコリー)には抗酸化ビタミン・カロテノイドが豊富に含まれています。また、穀類、貝類、根菜類には亜鉛が含まれ、魚類(特にイワシ、サンマ、アジなどの赤身の魚)などにはオメガ3多価不飽和脂肪酸が含まれています。これらの食品を摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。

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